人々が快適で住みやすい街をつくり出すために、都市計画法によってさまざまな規制が決められています。
通常だと市街化調整区域に指定されているエリアには建物を建てられませんが、それを建築可能にするのが既存宅地制度です。
今回は、既存宅地という制度について、意味や確認方法などをくわしく解説します。
既存宅地制度の意味とは?
都市計画区域は市街化区域と市街化調整区域に分けられており、市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域なので建物を建てることが制限されています。
建築するためには都道府県知事の許可を得ることなど条件がありますが、既存宅地制度によって許可がなくても建物を建てられるケースもあります。
既存宅地制度は市街化調整区域の制限を緩和する内容のもので、市街化区域に隣接していることやすでに宅地であったことなどの条件を満たしていれば、建築物の新築や改築が一定の範囲内で認められることを意味します。
この制度によって比較的自由に住宅を建てられるようになります。
既存宅地制度は2001年の法改正で廃止されましたが、現在は各都道府県が独自の制度を設けており、許可が下りた場合は建物が建築できるようになっています。
市街化調整区域内で不動産を購入する際には、既存宅地制度の概要を確認したうえで、建物の新築や改築・増築が可能か調べておくと良いです。
既存宅地制度の対象かどうかを確認する方法
現在は既存宅地の制度がすでに廃止されているため、新たに既存宅地か否かを確認することはできません。
しかし、制度があったときから既存宅地に該当していた土地であるかどうかは、市役所などで確認できます。
ただし、どこまで情報を公開しているかは自治体によって異なるので注意が必要です。
基本的に、市街化調整区域に指定される前から宅地として登記されており、現在も登記され続けている土地である必要があります。
市街化調整区域への線引きがおこなわれた時期については自治体によって違いがあるので注意が必要です。
線引き前から宅地であったことが証明できる公的資料が判断基準になることもあるため、用意できるか確認しておくと良いでしょう。
また、線引きの時点で地目が農地だった場合は、線引き前に農地転用許可がされている必要があります。